弁理士 許 湧 |
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サムスン電子の研究員が携帯電話の頭文字検索に関連する2件の職務発明に対する補償金を請求した事件において、最近、大法院はサムスン電子が2,185万ウォンを研究員に補償すべきとした原審判決を維持した。(大法院2017.1.25.言渡2014ダ220347判決)
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特に、本件で問題となった2件の職務発明のうち、第1の職務発明は特許無効の可能性が高く、かつ会社が実際に実施していないものであった。そこで、本件では特許無効事由のある職務発明に対しても補償金を支払わなければならないかという点、および会社が実施していない職務発明に対しても補償金を支払わなければならないかという点が主な争点になった。この2つの争点について大法院は、そのような特許無効事由や実施していないという事情だけでは補償金支払い義務のすべてを免れることはできず、単にそのような事情は補償金算定に考慮することができるだけであると判断した。
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より具体的には、第1の争点について一審法院は、特許無効事由(進歩性の欠如)が存在する職務発明から会社が得ることができる独占的利益はないとみて、補償金支払い義務が発生しないと判断した(ソウル中央地方法院2013.7.18.言渡2012ガ合501788判決)。しかし、控訴審法院は一審判決の判断を覆し、特許が無効になるおそれが高いとしても競合関係にある第三者にまで知られている公知技術であると見ることができなければ、会社の独占的利益を否定できない旨を判示した(ソウル高等法院2014.7.17.言渡2013ナ2016228判決)。
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これに対し大法院は、単に職務発明に対する無効事由があるという事情だけでは、特許権による独占的排他的利益を一律的に否定して職務発明補償金の支払いを免れることはできず、このような無効事由は、特許権による独占的排他的利益を算定するときの参酌要素として考慮できるだけであると判断し、「無効の可能性が高い特許発明に対する使用者利益の寄与」に対する控訴審法院での判断を受け入れた。
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また、第2の争点については、一審及び控訴審は、職務発明を直接実施しなかったとしても、そのような事情だけでは補償金支払い義務のすべてを免れることはできず、単に補償金算定に考慮できるだけであると判示しました。これに対し大法院は、使用者が実際に製造及び販売している製品が職務発明の権利範囲に含まれていなくても、職務発明実施製品の需要に対し代替可能な製品をもって使用者が職務発明に関する特許権に基づいて競合社に職務発明を実施できなくさせることにより、その売上が増加したとするならば、それに基づく利益を職務発明による使用者の利益として評価することができると判示し、サムスン電子の未実施特許発明に対する使用者の利益の存在についても控訴審法院と同一の判断を下した。
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要するに、大法院は、無効の可能性が高く未実施の事由がある特許発明に対して、競合社に特許発明を実施できなくさせることにより得た使用者の利益の存在を認めて職務発明補償金の支払い義務を認定すると共に、このような事由を独占権寄与率算定に反映させて評価したという点で、今回の判決の意味を捉える必要があるといえる。
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