KIM&CHANG
IP Newsletter/ MAY 2016
リフィニッシュボールに対する商標権侵害認定
   ソウル中央地方法院は使用済みの捨てられたゴルフボールを再生・再加工した者が「Lost ball」または「Refinished ball」という表示と共に自身の商号を記載して販売したとしても、オリジナルメーカーの商標が付着しているのであれば、商標権侵害に該当すると判断した(ソウル中央地方法院2016.2.5.言渡し2015ガ合539487判決)。
事実関係
   アクシネットカンパニー(以下「原告」とする)は有名なゴルフ用品メーカーで、「Titleist」と「PROV1」に対する登録商標権(以下「本件商標」とする)を保有している。被告の株式会社リフィニッシュボールコリアは原告の使用済みのゴルフボールを再加工して下記のような表示をして販売した。これに対して原告が商標権侵害に該当することを根拠に訴を提起したところ、被告は原告がゴルフボールを販売することによって、当該ゴルフボールに対する権利は消尽したので商標権の効力が及ばず、「Lost ball」または「Refinished ball」という表示とともに自身の商号が表示されているので、原告製品と誤認、混同の憂慮がないと抗弁した。
被告が販売したリフィニッシュボール
法院の判断
   法院は、被告製品には自ら開発した特許技術を通して使用済みのゴルフボールを「剥皮」した後、その表面に顔料を吹き付け、「剥皮」過程を経ることによりこれまでのゴルフボールと性能、品質が同じでないため、原告ゴルフボールとの同一性が喪失されたと見られるので、権利消尽原則が適用されないと判断した。
   また、本件商標とともに「Lost ball」または「Refinished ball」という単語が使用される場合、原告が再加工ゴルフボールを販売する業者として誤認される可能性がある点、被告は原告のゴルフボールを加工した後、本件商標を改めて表示し直して販売しており、本件商標の認知度を利用する意図があった点から見て、被告は原告商標権を侵害したと判断した。
コメント
   ゴルフ業界ではオリジナルブランドゴルフボールに比べて安い価格で販売されるリフィニッシュボールに対する市場がますます大きくなっており、リフィニッシュボール販売者はオリジナルブランドの「Lost ball」または「Refinished Ball」という単語を使って、自分たちが販売する使用済みのゴルフボールがオリジナルブランドレベルの優秀な品質を持っていることを間接的にアピールする場合が多い。該当判決はリフィニッシュボールという表示とともに独自の商号を別途に表示しても、オリジナルブランドに対する表示が残っているのであれば、商標権侵害主張が可能な点を確認した点で、オリジナルブランドの名声に便乗して再生品を販売する者への抑制に大いに役に立つと期待される。本判決は、被告が控訴せず確定した。
弁理士 徐蓮珠
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