KIM&CHANG
IP Newsletter/ MAY 2016
韓国商標法全部改正(201691日施行)
   韓国では商標法全部改正案が今年月に国会を通過し、201691日から施行されることになった。今回の改正法では、立法予告時に含まれていた①商標共存同意制度(コンセント制度)、②不使用取消審判における駆け込み使用に関する規定、及び③同日に2以上の出願が競合した場合の先使用者の出願優先規定は除外された。具体的な内容は次のとおり。
.商標定義規定の整備
   現行の商標定義規定は、商標として機能する全てのものが商標として登録可能であるにもかかわらず、限定列挙的に定義されていたため誤解を招く素地があることから、改正法では「商標」は他人の商品と識別するための標章、「標章」はその構成や表現方式にかかわらず商品の出所を表すために使用する表示と定義し、標章類型は例示列挙する形をとった。併せて、サービスマークを商標に一元化した。
2.不使用取消審判請求時の利害関係要件の廃止及び取消効力発生時期の変更
   改正法では日本商標法と同じく不使用取消審判を「何人でも」請求できるとし、これにより利害関係人のみが請求できるため利害関係有無の争いにより審理が遅滞するという現行法の問題点を改善した。
   また、取消審決の効力を審判請求日に遡及して発生するように改正することで、これまで取消審決の効力が審決確定日から発生するとなっていたため不使用により実際には保護すべき実体がないにもかかわらず、商標が登録されまだ存在しているからとして民事/刑事上の責任を問える形になっていて法感情にそぐわないという現行法の問題点を改善した。 。
3.商標不登録事由判断時点を登録可否決定時に変更
   改正法では日本商標法と同じく商標不登録事由の存在に対する判断時点を登録可否決定時に変更した(ただし、著名商標保護規定、不正の目的に基づく出願の制裁規定、信義則違反出願の制裁規定、条約当事国の代理人不正出願の制裁規定は出願時を基準に判断)。
   これによって、出願時に先登録商標が存在していたならば、登録可否決定時には消滅したとしても先登録商標との抵触による拒絶理由が解消されず再出願しなければならないという現行法下での不合理が解消される。
4.商標権消滅後1年間の出願禁止規定の廃止
   現行法では先登録商標が失効した後1年は需要者間にその商標に関する信用が残っているため商標出所の誤認混同を生じさせるおそれがあるとして、他人の登録を排除しているが、これは実効性が低い規定と判断され同規定を廃止した。
5.条約当事国の登録商標に対する保護範囲の拡大
   条約当事国の登録商標に対する保護規定が、現行法のもとでは異議申立/取消事由であったものを、改正法では拒絶理由/異議申立/無効事由に該当するものに変更した。また、改正法では同規定の適用範囲を①「代理人もしくは代表者」から「代理人、代表者など共同経営・雇用などの契約関係や業務上の取引関係またはその他の関係の者」に拡大し、②出願日前1年以内に代理人や代表者の関係にあったことを求める要件を削除するとともに、③除斥期間の適用を受けないことに変更し、条約当事国の登録商標に対する保護範囲を広げた。
6.指定商品別の権利範囲確認審判請求を可能に
   権利範囲確認審判を指定商品別に請求できると明文化することにより、一部に対してのみ権利範囲確認審判を請求する場合の審判請求費用を節減できるようになった。
弁理士 徐蓮珠
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